2023年の気候変化と健康運

東洋医学では、気候変化に調和することが養生の道であると古くから考えられていました。
これは中国の古典「黄帝内経」の「運気七篇」において「五運六気」と呼ばれるもので説明されています。
五運とは天干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)を地の五運(木火土金水)に配したもので、六気とは天の六気(風熱暑湿燥寒)を地支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)に配したもので、この組み合わせによって気候変化が説明されます。
2023年の干支は癸卯であり、五運で見ると火運不及の年となります。
火運が不及なので火を剋す水運が勝気となれば、寒気が旺盛となり心や腎の働きが弱まります。
その結果、動悸、不眠、精神不安、頻尿、冷え、腰痛、膝痛などの症状が現れやすくなります。
勝気の後に水を剋す土運が復気となり風雨が報復し、人の身体では消化器系の症状が現れやすくなります。
六気では、その年一年若しくは前半を表す司天(一年の気候を六気に分けたもののうち3番目の気)が陽明燥金であるため、金気が強くなります。
一年を通じて(又は上半年)は乾燥の気候となります。
燥気が旺じて燥邪となれば、肺の皮膚病や呼吸器疾患を患います。
また在泉(6番目の気)が少陰君火なので、年の後半は火気が強くなります。
五運と六気のどちらを重視するかについては、まず運と気の相生相剋関係を見ます。
運が気を剋す、または運が気を生じる関係であれば五運を重視し、気が運を剋す、または気が運を生じる関係であれば六気を重視します。
運と気が同じ関係であれば、両方を併せて運用します。
この場合、組み合わせによっていくつかのパターンがあります。
2023年は、天干と地支が共に陰に属し、歳運と在泉の気が同じ(共に火運)なので、これを同歳会といいます。
この場合、病の勢いは緩やかで病は持続することを特徴とする「歳会」と同じ性質であると考えられます。
したがって、病は緩やかに進行していきます。
こうした気候変化に、影響を受けやすいのかどうかは、体質にもよります。
四柱推命や算命学など東洋の占星術では、その人の性格や資質をみる上で、特に日干(生まれた日の天干)を重視しており、体質についても同様に考えることができます。
日干が丙(ひのえ)か丁(ひのと)で身弱な命式や、命式に火が無い又は少ない場合、さらに水が多く弱い火が剋される命式の人は注意が必要です。
(※日干の出し方や身強身弱の判定方法についてはここでは省略させて頂きます。万年歴や占いの本、インターネットなどで調べてみてください。)
心気虚では、心悸(動悸がして不安を伴う病証)、息切れ、自汗(日中の発汗過多)、倦怠感、胸悶(胸部の悶え感や痞え感)などの症状が現れます。
心陽虚では、心気虚の症状に加えて畏寒(陽虚による寒証)、胸や背中・手足の冷え、顔面蒼白などの症状が現れます。
心血虚では、心悸、不眠、多夢、眩暈、記憶力・集中力の低下、健忘、顔面蒼白などの症状が現れます。
心陰虚では、心血虚の症状に加えてのぼせ、耳鳴り、口渇、潮熱(一定時間に出現する熱)、盗汗(睡眠時の発汗)、五心煩熱(手掌・足裏・胸部に熱感があり落ち着かない)などの症状が現れます。
金が多く木が少ない命式の人は、金を剋す火の力が弱くなるので、金剋木により肝の症状が起きやすくなります。
肝気鬱血では、イライラ感、緊張、抑鬱、胸悶、胸脇苦満(胸脇部の張り・塞がり感)、梅核気(のどの異物感)、月経不順などの症状が現れます。
肝血虚では、目の乾燥やかすみ、脇の隠痛(長引く軽微な痛み)、四肢のふるえ、面色萎黄(黄色く光沢のない顔色)などの症状が現れます。
肝陰虚では、肝血虚の症状に加えて、五心煩熱、盗汗、のどの乾燥、耳鳴り、眩暈などの症状が現れます。

 

参考文献

橋本浩一(2009)『内経気象学』(緑書房)
淺野周(2021)『全文ふりがな付き・素問 現代語訳』(三和書籍)
辰巳洋(2009)『実用中医学』(源草社)