季節の病気 2022年4月「麻しん・風しん」

今回は、比較的春に多い麻しん、風しんについて取り上げます。

麻しん(はしか)

麻しんは、麻しんウィルスによって引き起こされる急性の全身感染症です。
感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、感染力は非常に強いと言われています。
免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
【症状】10~12日の潜伏期間を経て、発熱(38℃前後)、咳、鼻水、結膜充血などの症状を生じます。
熱は一旦下がり、口腔内にコプリック班という白い粟粒の班が見られるようになります。(カタル期)
その後コプリック班は消失しますが、熱が再び上昇し(39~40℃の高熱)、全身に発疹が現れます。
発疹は、耳や首の後ろより出現し、顔、腕、胸に広がり、さらに背中、腹、足へと、徐々に下の方に広がっていきます。(発疹期)
回復期に入ると発疹は消えていきますが、しばらく色素沈着が残ります。
【発生状況】平成27年3月27日、世界保健機関(WHO)により、麻しんの排除状態にあることが認定されました。
かつては毎年春から初夏にかけて流行が見られていましたが、排除後は、海外から日本へ入国した人からの感染だけが報告されている状況です。

風しん(三日はしか)

風しんは、風しんウィルスによる急性の発疹性感染症です。
主な感染経路は飛沫感染ですが、接触感染や母子感染もあります。
一度感染すると、生涯免疫を獲得できるといわれています。
【症状】2~3週間の潜伏期間を経て発熱(38℃前後)、咳、全身の発疹、耳や首の後ろのリンパ節の腫れ、結膜充血などが現れますが、無症状の場合もあります。
まれに血小板減少性紫斑病、脳炎、関節炎などを合併し、重症化することがあります。
妊婦が感染した場合、先天性風しん症候群の子どもが生まれてくる可能性があるといわれています。
【発生状況】かつては数年ごとに流行していましたが、平成6年以降はほとんど見られなくなりました。
しかし平成23年以降、再び流行し、平成25年をピークに低下したものの、平成30年7月下旬頃から再び増加に転じました。

ワクチンの是非

厚生労働省は、予防接種を推奨しており、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)は、法律に基づいて市区町村が主体となって実施する「定期接種」となっています。
接種期間は、まず1歳から2歳未満で1回接種し、小学校入学前の1年間(5歳から7歳未満)に2回目を接種します。
麻しんが日本において排除状態になったのは、ワクチンのおかげだと説明しています。
一方、ワクチン接種の必要はなく、むしろリスクがあり、慎重に判断すべきという慎重論や否定論もあります。
医学博士の崎谷博征氏によると、麻疹のワクチンは1963年に誕生しましたが(日本では1966年に定期接種開始)、すでにそれ以前に麻しんによる死亡率は激減していたと指摘しています。
むしろ麻疹の不活化ワクチンを接種した子供に肺炎や高熱、脳症が引き起こされたことを問題視しています。
結局のところ、どちらを選択してもリスクをゼロにすることはできません。
自分自身でよく吟味し、決定するよりほかないでしょう。
もしそうすることなく特定の情報だけを鵜呑みにして判断し、その結果が望ましくないものとなった場合、後悔することになります。

参考文献
厚生労働省ホームページ『感染症情報』
日本小児科学会(2018)『~知っておきたいワクチン情報~ 麻疹・風疹ワクチン』
崎谷博征(2021)『今だから知るべき! ワクチンの真実』(秀和システム)