季節の病気 2022年3月「花粉症、大気汚染物質(PM2.5、黄砂)」

春は花粉やPM2.5、黄砂などの大気汚染物質によって、アレルギー性鼻炎や気管支喘息など呼吸器系を中心とした症状が現れやすくなります。
特にPM2.5は肺がんのリスクを高めるといわれており、深刻な問題です。
これらは、昔から見られたものではなく、近代化に伴う環境破壊が原因となっています。

①花粉症

日本気象協会が2月17日に発表した「2022年 スギ・ヒノキ花粉のピーク予測」によると、スギ花粉のピークは、東京は3月中旬から下旬、名古屋は3月上旬から中旬、ヒノキ花粉のピークは、東京、名古屋共に4月上旬から中旬にかけてとなる見込みです。
飛散量については、東京、名古屋共に例年よりもやや少なく、前年よりもやや多いという予測が立てられています。
花粉症は1980年頃から増え始めました。
その大きな原因として戦後のスギの植林がありますが、そうした環境要因とは別に、ヒトの免疫機能がこの数十年間で変化したことも一因であるという説があります。
ヒトには一度体内に侵入した病原体の情報を記憶する「免疫記憶」というシステムがあり、ヘルパーT細胞という免疫細胞がその中心的な役割を担います。
ヘルパーT細胞には、細菌やウイルスなどに反応するTh1細胞とダニやカビ、花粉などのアレルゲンに反応するTh2細胞があります。
ヒトはTh2細胞が優位な状態で生まれてきますが、昔は成長に伴いウイルスや細菌に感染する機会が多かったので、Th1細胞が増加しバランスが保たれていました。
しかし現代では産業構造や居住環境が変化し、また抗菌グッズの普及に象徴されるように、人々の清潔への意識の高まりなど、様々な要因によって、微生物と接触する機会が少なくなりました。
その一方で、大気汚染や食生活の変化などにより、アレルゲン物質との接触機会が増加しました。
そのためTh1細胞への分化が減少し、その分Th2細胞への分化が増加したのです。
これは「衛生説」と呼ばれ、花粉症が増加した原因の一つと考えられています。

②PM2.5

PM2.5とは、2.5㎛以下の非常に小さな粒子のことで、これを吸い込むと肺胞まで届き、また排出されにくいため体内に蓄積し、呼吸系や循環器系に悪影響を及ぼします。
肺がんのリスクも高めるといわれています。
発生源としては、工場や自動車などの排ガス、塗料や接着剤などからの揮発性のガス、土壌、海洋、火山、植物等の自然界を起源とするものもあります。
平成21年に設定された環境基準では、健康の適切な保護を図るために1年平均値15㎍/㎥以下かつ1日平均値35㎍/㎥以下に維持されることが望ましいとしています。
環境省は、これまで取り組んできた大気汚染防止法に基づく規制などにより、PM2.5の年間の平均的な濃度は減少傾向にあると説明しています。
日本気象協会は、独自の気象予測システムにより、当日から3日先までのPM2.5の傾向を予測しています。

③黄砂

黄砂とは、中国大陸内陸部の砂漠や黄土高原などで、風によって巻き上げられた砂が偏西風に乗って日本まで飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。
粒子は、PM2.5などの非常に小さなものから、10㎛ほどの大きなものまであります。
多くは4㎛程度といわれています。
黄砂は、金属や化学物質を含んでいるため、ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の原因にもなります。
日本気象協会は、当日から3日先までの黄砂の分布を予測しています。