季節の病気 2021年12月「新型コロナはどのくらい脅威なのか?」

新型コロナについては「正しく恐れることが大事」とよくいわれます。
しかし「正しく恐れる」上で、その脅威を客観的に判断するためには、新型コロナだけを見るのではなく他の感染症と比較することも必要です。
また判断する数字については「感染者数」か「致死率」のどちらかを単独で見るのではなく、それらを掛け合わした性質をもつ「死亡者数」に着目すべきです。
同じ感染者数であっても致死率が低い場合や、同じ致死率であっても感染者数が少ない場合は脅威が低くなります。
性質が近いインフルエンザと死亡者数を比較することが、新型コロナの脅威を判断するための手掛かりとなりそうです。

インフルエンザによる死亡者数

インフルエンザによる死亡者数は、厚生労働省が公表している人口動態統計の過去20年間(2001~2020年まで)の結果を見ると、最も少ない年が2010年の161人、最も多い年が2019年の3,575人となっています。
これらの数字はインフルエンザ感染による死亡が直接の原因とされたもので、さらに関連死を合わせると年間1万人ともいわれています。
関連死は二次的に起こる肺炎や持病の悪化など、間接的に影響を受けて死亡したものをいいます。
2009年に新型インフルエンザが発生した際、厚生労働省は「新型インフルエンザ対策関連情報」の中で、インフルエンザによる年間死亡者数について次のように説明しています。
「国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。」
このようにおおよそ1万人と推計されていますが、当然流行状況によって差が出てくることでしょう。

新型コロナによる死亡者数

一方、新型コロナによる死亡者数は、2020年の人口動態統計によると3,466人でした。
2021年は人口動態統計がまだ出ていませんので、速報値として公表されている12月1日までの累計18,354人から2020年の3,466人を引いて、およそ15,000人と推測できます。
この数字は厚生労働省が令和2年6月18日の事務連絡において、陽性者で入院中や療養中に亡くなった人については厳密な死因を問わず「死亡者数」として公表するように通達しており、直接死だけでなく関連死も一定程度含んでいると思われます。
新型コロナウイルスによる死亡者数と、流行した年のインフルエンザの死亡者数は、1万人以上にも及ぶという点で、少なくとも日本においてはほぼ同程度の脅威であるということがいえそうです。

 

それでも新型コロナの方が脅威だという主張に対して

このような死亡者数を比較した見解を退け「重症化した場合の症状が激しい」「後遺症が残る」などの理由を挙げて「新型コロナの方がやはり危険だ」という主張もありますが、全体の一部を取り上げて評価することは賢明ではありません。
それなら一方で、小児はインフルエンザによって毎年死者が出ていますが、新型コロナによる死者は極めて少ない状況であるという事実があります。
10代の死者が初めて確認されたのは2021年9月です。
小児にとっては、新型コロナよりもインフルエンザの方が明らかに脅威ですが、だからといって日本人全体としてインフルエンザの方が脅威だとはいえないのと同じです。

参考文献
厚生労働省ホームページ『人口動態統計』
厚生労働省ホームページ『新型インフルエンザ対策関連情報』
厚生労働省ホームページ『新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について』
厚生労働省ホームページ『新型コロナウイルス感染症について>国内の発生状況など』